おすすめ本『ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集』

本記事は「おすすめ本 Advent Calendar 2024」8日目の記事です。

私が今回おすすめする一冊は『ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集』です。「え…宗教?よくわからないし自分とは関係ないし…成功とかもそんな別に…」と思った方もまあちょっと待ってください。

タルムードというのは、ユダヤ教の口伝律法と学者たちの議論を書きとどめた議論集で、古代ヘブライ語で「学習」「研究」を意味するものなのですが、その中身は短い物語調で書かれた説話です。一つ一つの物語は「桃太郎」や「うさぎとかめ」くらいの長さのもので、年端のいかない子どもでもわかる程度の内容となっています。この本は、そんな説話を集めて、ユダヤ教信者の著者(日本人です)が少しの解釈を足した一冊です。

ユダヤ人は長い歴史上、そして今も迫害を受けたり安住の地を追われたりしながら生きてきた人々です。いうなれば昔から自分の意志とは関係なく変化に晒され、その中で生き抜くことを否応なく求められてきた人々と言えるでしょうか。その中で子孫や仲間に伝えていきたいと思ったこと、考えてほしいと思ったことが、各種説話として残っています。それがタルムードです。

今回この本をおすすめするにあたり、個人的に心に残ったタルムードを1つ紹介します。


あるラバイの最悪で最良の災難

※ラバイ:宗教的指導者

あるラバイが旅をしていた。 ラバイは犬と羊を連れ、聖書を読むためのランプを持っていた。 一日歩き続け、陽もとっぷり暮れたので、ラバイはその夜泊まる場所を探した。 ほどなく粗末な納屋を見つけて、そこで寝ることにした。

しかし、寝るには早いので、ランプをともして聖書を読むことにした。すると、まだ残っていると思ったランプのオイルが切れて、灯りがふっと消えてしまった。

ラバイはしかたなく早めに寝ることにした。 その夜は本当に悪いことが重なった。連れていた犬が毒虫に刺されて死んでしまった。 次にオオカミが来て、羊も殺して食べてしまった。 朝になって、ラバイは空腹のまま出発した。乳をくれていた頼りの羊ももういない。

少し歩いて、ある村の近くにくると、ラバイは異様な気配に気づいた。 人影がまったくない。よく見ると、あちこちで村人が惨殺されていた。

前の晩に盗賊がやってきて村を襲い、村人達を皆殺しにして、金品を奪っていったことを知った。 彼は恐ろしさに打ち震えながら思った。

もしランプが消えていなければ、彼も盗賊に見つかっていたはずだ。犬が生きていたら、キャンキャン吠えて、やはり見つかっていただろう。 羊も騒いで音を立てたに違いない。

すべてを失っていたからこそ、自分は助かったのだと。そこでラバイは深く悟った。

「どんなに災難がふりかかろうと、人は希望を失ってはいけない。 最悪なことが最良なことだと信じなければいけない。」

人生、最悪だー!というようなことも当然ありますよね。もう絶望するしかない…ということも。

そういうことに対して「それで良かったんだよ」とか「そうなることが一番いいからそうなったんだよ」というような運命論で語られることもあるかと思うのですが、個人的には最悪の事態とか絶望は、どう考えても辛いし、普通に絶望だと思います。

それに対して無理やり「絶望ではない」と自分に言い聞かせることは辛いし、自分の心に嘘をつくことになるので逆効果になります。しかし、腐ってばかりいてもどうしようもない。そういう時に起こった物事をどう捉えればいいのか、という一つの解が、タルムードのこの言葉です。


どんなに災難がふりかかろうと、人は希望を失ってはいけない。 最悪なことが最良なことだと信じなければいけない。


この言葉(学び)の個人的にいいと思う点は、「信じなければならない」というところです。多くの人が見て最悪だと言うことを最悪でないと思うのではなく、最悪なことは最悪なままとしています。しかし、そのことによって得られたり守られたりしたこともある、と思おうとする行為が大事としているところがこの話の教訓です。

ユダヤ人の成功哲学「タルムード」金言集』にはそのような説話がたくさん載っている一冊です。勿論すべて書かれていることが正ということもない(そもそも多くの日本人とは宗教が違いますしね)ですが、説話として読んでも面白いですし、心に残るものがあれば自分の生活に取り入れてみることもできます。

ちなみに私がタルムードを知ったのは、ある時同じタルムードの説話の一つ「金の冠をかぶった雀」のことを知り、興味を持ったのがきっかけでした。

2024年、読んでよかった一冊です。おすすめです。



参考

newspicks.com

note.com

権限委譲と権限移譲

権限委譲と権限移譲の違い メモ

  • 権限委譲

    • 権限を譲る対象:上司から部下へ
      • 上司が持つ権限の一部を部下に任せること
    • 責任の所在:上司が最終的に責任を負う
  • 権限移譲

    • 同僚間など対等な立場の人へ
      • 仕事・権限・所有権などを他の人に譲ること
    • 権限を譲り受けた人が責任を負う

はじめの挨拶

いいねもコメントもしないし、多分大衆受けもしないのだけど、定期的に見に行ってしまうサイト。 迷い悩んだ時に見返すと、密かに元気をもらえるサイト。 どうして自分が辿り着けたのかもわからないような、一体何の検索ワードで辿り着いてしまったかも忘れてしまったような、しかし自分のブックマークにはあり続けてほしいサイト。

無数のそういうサイトの微かな1viewの裏にはそういうことを思う自分がいて、ありがとうが届け!といつも思っていて、本であったら擦り切れるんじゃないかと思うくらい同じ記事を訪れることもあって。

このサイトも、誰かにとってそのようなサイトであれたらいいなと思い、これをはじめの挨拶とします。